太「ふぅ…――平和だ」
窓の外を眺めて、太助は麦茶片手にワイングラスな持ち方で呟いた。
太「今日もこの街のどこかでこの平和に影を射す輩がいる…悲しい事だ」
シャ「
馬鹿やってないでさっさと次進めないと――殺りますよ?」
太「…お前もいつもやってた事だろうが…」
シャ「…で、物置探してたら出てきたんですけど――コレ、何です?」
太「あぁ、そりゃ軍人将棋だ。俺もやり方知らん」
シャ「じゃぁ…これは? 操縦桿みたいですけど…」
太「それはGコ●だ。本体が無いから良く判らんけどな」
シャ「じゃぁ…これは? 変な2体の人形ですけど」
太「オト●ケ君人形とセッ●チ君人形だ。今は動かん
が、声を録音して、遅く再生したり早く再生したり出来るんだと」
シャ「じゃぁ…これは何ですか? 握りの所が半分に割れるようになってますけど」
太「ああ…それは確か赤空の殺人剣『連●刀』だ」
シャ「太助様の家の押入れって何だか4次元ですね」
太「お前には負けるけどな」
しばらく経って、
太「さて、今回はテニス話の為、当然ながらテニスに行くぞ」
シャ「ウチにラケットとボールなんてありましたっけ?」
…知ってるじゃん。
太「つーか、テニス場なんて何処にあるか知らないんだが…」
シャ「だーいじょうぶ! まーかせて!」
太「お前は某部活のOBか」
中指を突き立てて言うシャオに、太助はそう突っ込んでチョップをかますが、彼
女はいたって平然と、
シャ「そういう時にはコレ! どこでも――」
太「却下却下却下だぁぁっ!!」
シャ「…そうですか…――『二虎競食の計』という言葉があると言うのに…」
太「…全然使い所間違ってるぞ、それ」
シャ「…でも太助様――…今は、例え版権に関わってでもこれを使わないと出られ
ません」
太「はぁ? それって一体…」
シャ「ウチの敷地一帯に、強力な結界が張って
あるんです」
太「ちょっと待てぃ」
――今まで気付かなかったが、改めて庭や玄関を見ると、妙な御札がそこら中に
ベタベタと貼られている。それらがシャオの言う『結界』なのだろう。
しかし一体誰が? そんな結界を貼る(張る、か?)様な奴など、知り合いに――
そう思いながら、太助はその御札の隅の文字を見て、そして悟った。
太「
奴かぁぁっ!!」
しかも、御札に掛かれている文字は『
悪霊退散』…
太(悪霊?)
悪霊退散=悪霊を封じる…
――シャオをちらりを見て、
太「
悪霊?」シャ「
な訳ないじゃないですか♪(にやそ)」太(嘘ぉ…)
…まぁ、それでも
精霊も“霊の一種”だと考えると、『悪霊退散』の札で封じられても変じゃないだろう。そう納得するのが、長生きする最善の秘訣だと、太助は
悟ったのだ。
…それは人間として
“敗北”の悟りだった。
太「アバヨ…平和という言葉…」
日天も登場していないのに、彼はそう呟いて、
妙なドアをくぐるのだった。
太「で…ここ、何処だ?」
シャ「
テニス場です」太「…いや、だから
何処のテニス場だ? 何か空間がねじれてる感じがするんだが…」
シャ「ここだと私のパワーは3倍になるんです」
…一瞬の間。
太「――…って事はアレか? この空間はアレなのか?」
シャ「そうです」
太(…コイツはともかく、…確かこの空間って普通の人間なら消滅しちゃうんじゃ…)
シャ「さっきテキ●ー灯当てときましたから」
太「…っ! 何時の間に…――」
命に関わる事な為、太助はツッこむ事はしなかった――…それより、何でこんな
空間にテニスコートがあんねん。
シャ「とりあえず、テニスしましょ☆」
太「
却下だ。通常空間に戻る」…空が赤黒くうずめいているのだ。ちょっとここまで来ると
キツイ。
シャ「
我儘ですねぇ」太「
そーいう問題じゃねぇだろ」
…と、通常空間(つーか鶴が丘)戻り、最寄のテニス場を住民共から訊きだし、
偶には対決し、ようやくテニス場に辿り着いた。
太「…話の都合とはいえ
何でこんなに苦労しなきゃならねーんだ」
シャ「RPGのお約束ですわ」
太「まぁ、確かにRPGならこんなモンだろーが…月天はRPG
なんかい」
シャ「そうですよ勇者太助」
太「いつの間にか俺が勇者かい――なら、差し詰めシャオはラスボスってトコだな…」
シャ「ここで引導を渡してくれようか」
地獄耳の彼女の手にあるラケットから、妙な悪意のオーラが湧き出てくる。ヤバ
イ。太助は最大のピンチだ。助けて百●郎!(←錯乱気味)
出「呼ばれて飛び出て――」
太&シャ『そのまま帰れ』
出「…酷い言い様ですね」
太「百太●は呼んだが、アンタ呼んでないし」
シャ「ってか、ウザイ」
↑…精霊らしからぬ言動。
太「にしても…お前何に乗って来たんだ?」
太助はソレを半目で眺め、出雲に向かって呟いた。
出「? 普通に馬ですが」
太「普通じゃない普通じゃない普通じゃな
いぃぃっ!!」
シャ「まぁ♪ 幻の名馬 赤兎馬ですね♪」
太「知ってるんかっ!?」
シャ「呂布さんが駆って戦ってるのを見た事が」
太「そうなのかぁぁぁっ!!?」
出「流石、妖怪ですね」
太「いや、精霊だってばさ」
出「それでこそ封神し甲斐があるというもの…――そうです
よね、父さん!」
B離「………」(←訳:そうでし!)」
……………。
太「だから何言ってんだか…――って離珠、何で出
雲の頭の上におんねん!!」
シャ「裏切ったな! 離珠…父さんと同じく、ボクを
裏切ったんだ!」
太「お前はどっかの選ばれし3人目かっ!!?」
出「フフフ…離珠さんは宮内神社の手によってブラック離珠に…」
太「洗脳したのか!?」
出「いえ、自家製薄皮まんじゅうを3つ程」
太「買収したのかい」
出「平たく言えばそうですね」
太(…薄い主従関係だな、ヲイ)
シャ「そんな…」
太「シャオ、落ち込むな――所詮お前と離珠の関係はまんじゅう3つ分
だったって事だ」
出「太助君…全然慰めになってませんよ」
するとシャオは、妙に古そうな大砲を支天輪から取り出した。
太「…何やらかす気だ? をぃ」
シャ「敵の手に渡るくらいならいっそ…」
太「大馬鹿者ぉぉぉぉっ!!!」
全力疾走しながらのツッコミに、シャオはテニスコートのネットまで吹っ飛ばさ
れ、そのまま地べたに崩れ落ちる。
シャ「痛ぅ〜…何するんですか! チャン●ラトリオだってここまでしないですよ…」
出「そういえば、そこでアームストロング砲喰らったら私にも直撃しますね」
太「いや、つーか普通すぐ気付くだろ」
太「質問なんだが、その離珠は何出来るんだ?」
出「生命のゲートを開く事が出来ます」
太「声優ネタだからってレベルアップし過ぎじゃ
ねーかっ!?」
シャ「やはり私自身が息の根を…」
太「だからいちいち支天輪からンな物騒な大砲取り出すなっての」
シャ「まぁ、離珠の事はほっといて」
太&出『いいのか?』
シャ「せっかく出雲さんも来た事ですし」
太&出『テニ…
シャ「
霊の召還でも」
太&出『
却下ぢゃぁっ!!!』
出「まぁ、シナリオ通り普通にテニスしましょうか…」
太「何故にお前が仕切る」
出「
顔的に主人公っぽいですから」太「
声優的に言えば俺が主人公でお前がライバルだろーがカテゴリーF」
出「だからそれ止めて下さい」
太「弟さんはどーした弟さんは?(にやそ)」
出「言いたい放題ですけど、アナタもそのネタならお姉さん好き
のストーカー少年じゃないですか」
太「ぐっ…!!」
シャ「まぁ…『すとーかー』と言うと、小指立ててマイク握って、『ガンダ●
ファイトォォッ!』って…」
↑ストーカー違い。
2人は対峙し、無言――両者、1筋の汗を流しつつ、苦笑い――
太&出『ト、トリアエズテニスシマショウカ!!』
↑カタコト言葉。
シャ「軟弱者ですねぇ(妖笑)」
って事で、何だか判らないウチに太助 VS 出雲って事になる。
太「…にしても、俺、テニスやった事ねーんだよな」
出「情けないですね」
太「『スマ●ラ』ならやった事あるんだが」
出「関係無いですよ」
シャ「太助様っ! 私がお教えしますわ!」
太「何!? お前やった事あんのか!?」
シャ「ええ。これからは私をコーチと呼べ! 岡!」
太「誰が岡じゃい」
シャ「じゃあタカヤ」
太「コーチ違いだらうが。いい! もー適当にやらぁ!
ただコレ(←ラケット)で玉っコロをヤツのコートに飛ばせばいいんだろ…楽勝だ
ぜ!」
シャ「太助様、性格が変わって…」
太「やぁってやるぜ!!」
翔「お前等何やってんだ…」
太「をぅ山之辺――いきなりの登場だが…どした?」
翔「アタシは普通に探し物探しだよ」
太「は? 何探してんだ?」
翔「う〜ん…良くわかんないんだ」
太「バカか」
翔「うぐぅ…キツい言い方だなぁ。主人公の言うセリフじゃないぞ?」
太「(無視)……ま、良いや。その内俺も一緒に探してやるよ。…ところで、お前
テニスってやった事あるか?」
翔「フフン♪ テニスは大富豪令嬢の必須科目だぜ?」
太「ぢゃぁ、した事ねぇか…」
翔「待て」
太「何だよ…? やった事ないんだろ?」
翔「やった事ないとは一言も言ってねーだろが」
太助は少し考えて、翔子を指差し、
太「…令嬢?」
翔「…ああ」
太「誰が」
翔「アタシが」
太「嘘ぉ!?」
翔「…いや…そこまで驚かなくても良いと思うぞ」
太「いやぁ…だって、その…なぁ?」
出「何で私に同意求めるんですか」
太「令嬢って言ったら、レースのドレス着たり、日傘
差したり、妙な甲高い高笑いとか…」
翔「何時のハナシだそりゃ」
小「ジーサンですねぇ(微笑)」
太「手前ぇは4000歳以上年上の
ババァだろーが」
出&翔『うんうん』←縦に頷き。
そう太助がツッコむと、シャオはため息を1つ吐いて、
小「…精霊には試験も何にもないんですよ」
太「会話が成り立ってねぇ」
つーか、このSS自体、成り立ってないのだが。
太「とりあえずイロイロ邪魔入ったが…――俺の天井サーブを見せてやるぜ!」
翔「天井なんかねぇぞ」
そう。ここは野外のテニス場。上空は果てしなき青空――更に行けば宇宙空間だ。
この時代ではコロニーも火星基地も無い筈。
太「………と、とにかく――いくぜっ!」
太助の思いっきり適当なサーブは、直線で出雲のコートに落下――負けじと出雲
も、
出「ほぅ――なかなかやるっ!!」
太「ンなヘナチョコ球、止まって見えるぜ!!」
翔「へぇ〜…七梨の奴、フォームは滅茶苦茶だけど、互角にやりあってるじゃん」
そう。やった事はないにしても、スパイラルジャンプしたり、空中2回転ひねり
やらをしつつも、かなりの腕前であろう出雲と互角…もしくはそれ以上にやりあっ
ている。それは彼に備わった運動神経が成している業であろう。
太「
――壊・月天の太助様は一味違うぜぇっ!」
“スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン” “スパコーン”
…15分後。
出「これでは決着が付きませんね…」
未だに得点は0−0。どちらもミスせず、ラリーが続き、ようやく痺れを切らし
たのは出雲だった。
太「まぁ、この調子だったら日が暮れるわな」
出「…そこで、ですが――
『山手線ゲーム』って知ってますか?」シャ「あ、知ってます〜――『セ●ダ・ミツオ・ナハナハ』って」
出&太&翔『
全然違う』
ナレーション
『説明しよう! 『山手線ゲーム』とは、あるお題を出し、それに当てはまるモノを順番に答えて行く、それはそれは過酷なゲームなんだ!!』
翔「…過酷なのか?」
太「…つーか今のナレーション
誰だ?」シャ「それはそれは
22世紀の科学力で」太「
あーいうのは科学でなんとかなるモンなのか?」
シャ「どうなんです?」
翔「何で疑問形っ!?」
太「よし!さっきのナレーションのお陰で、大体ルールは理解した!」
シャ「それは何より」
翔(初めてシャオが役に立った瞬間だな)
出「それじゃ…――基本的に…――『『あんこ』の種類』!!」
そう叫んで、ラケットを構える――
太「あ…あんこの種類だと!?」(←何故か戦慄)
出「行きますよ! 『こし“あん”』!」
太「あん…アン…――チッ…
『ジャイ“アン”』!!」
翔「いきなりそれかぃっ!――しかも『あんこ』じゃないし!」
出「フッ…流石ですね――
『どん●ん“庵(あん)”』!」
翔「OKなのっ!? って、
バ神主!お前もかっ!?」
太「
『モトシャリ“アン”』!」出「
『クク●ス=ド“アン”』!!」太「
『“●n”』(←雑誌名)!!」
――で、1分後――激闘の末…
出「
『エイ●リ“アン”』!!」
太「…アン…アン…――くそっ!!」
翔「勝負あり!」
――ようやく出雲が先取。…とはいえ、実力の勝利ではない。知識の勝利である。
翔「何か…凄ぇ低次元な闘いだよな…」
太「く…くそっ!
エイド●アンって何だよっ!?」出「アナタこそ、
ク●ルス=ドアンって何ですか?」
太「じゃぁ…次は俺の番だなっ!
『『妖怪』の種類』っ!」
出「甘いですね――私を誰だと思ってるんです!?
魔物ハンター出雲ですよ!?」
翔「神主じゃなかったのか?」
シャ「式神使いでは?」
太「しまった…っ! まぁ…何とかなるだろ――いくぜっ!
俺のターン!! 『シャオリン』!」
太「ギャァァッ!?」
シャ「…何を言うか」
出&翔(…まぁ、言いたい気持ちは判る)
出「と、なると…私のお相手がいなくなりましたね…結構な腕前でしたのに」
翔(ドライだなぁ…このあんちゃん)
出「やはり、式神を召還し――」
翔「アタシが相手するから止め」
出「――そうですか…?」
シャ「もしくは私が」
翔「シャオとこのアンちゃんだと●映マンガ祭りにな
るから不許可」
出「どういう意味ですか」
翔「鶴が丘町が瓦礫の山となるからだ」
シャ「そんな…この私がたかが1人の人間に梃子摺
ると?(涙)」
翔「…涙目で口にするセリフじゃないな」
出「ちょっと待って下さい…――聞き捨てなりませんね…!」
翔「ちょ、ちょっとおにーさん!? 挑発に乗っちゃぁ…」
シャ&出『ガン●ム・ファイトォォォォ!!』
翔「お前等ぁっ! それって違――」
――2人の拳が重なり合った刹那――周囲200メートルを巻き込む爆発が起こ
り――
――以後しばらく、鶴が丘テニス場一帯は立ち入り禁止となり、謎の怪爆発とし
て連日ワイドショーの的となった。
ハルカの勝手コメント
これまでにもましてパロネタが広範囲に渡ってますね。
ええ、もう渡りすぎていてハルカには半分がたわかりません(爆)
ハルカ的には「(c)宮内神社」がツボでした。だって、札に書いてあるんですよ?(笑)
っていうか翔子さんは『大富豪令嬢』だったんですね!
最後に一つ。こんなに壊してしまって、桜野先生、すみません!
……何故ハルカが言う………(死)
と言うことで、レイさんの次回作にありったけの期待をしつつ、感想メールを送りましょう!!