まもって守護月天
〜22Century〜
〜31話(4連チャンでやれってか…)〜
いつもの鶴が丘中学――の、屋上。給水塔の上で座る太助&シャオ。
…珍しい組み合わせである。
シャオ「太助様」
太助「…ん?」
ちなみに、昼放課である。
シャオ「…普通、こういうのって二人きりが定番だと思うんですけど」
キリュウ「寒いのは苦手なんだがな…翔子殿、紅茶のお代わりをくれないか?」
翔子「ああ。――ま、こういう日には水筒にホットティーは欠かせないっつーか…――てか野村、勝手に人の昼飯盗むんじゃねーよ」
TAKASI「良いじゃねーかサンドイッチの一個くらい――…くぁ〜、しっかり具のカツに味が染みてて美味い! 星3つモノだぜ!」
出雲「口の中入れたまま喋らないで下さい。…全く、野村君は行儀が悪いですね…」
ルーアン「…って、アンタ何食べてんのよ」
出雲「寒空にピッタシのキムチ鍋ですが何か?」
ルーアン「……。」
花織「ね、ね、山野辺先輩! 私にもサンドイッチ一つ下さいよっ!」
翔子「ああ良いよ。ほれ」
TAKASI「ンだよ山野辺、俺ん時は怒ったくせに!」
翔子「…『盗む』と『貰う』の違いだよ」
キリュウ(翔子殿…言える立場じゃ…)
花織「(はぐっ…もぐもぐ…)――!? ぅお〜〜〜っ!! こっこの味は、東京新宿のヤングからアダルトと幅広く人気を持つカフェ『ニャ〜ニャ・ニャーニョ』のカツサンドとウリ二つ!!! このサクっとした上げ具合、独自の風味あるソースの味、かつフレッシュだが水っぽく無いレタス!! 申し分無い!!」
TAKASI「な、なんだ!?」
花織「ばっちぐーッス山野辺先輩!」
翔子「あ、ああ、そうか…(汗)」
……眼下で、まるで遠足のように敷物の上で繰り広げられるランチ空間。
太助「いや、なんかみんなついてきちゃって」
シャオ「…た、確かに原作でも監視されてます…けど…――ルーアン姉様! なんでコンパクト使わないですか!?」
ルーアン「んー、電池切れ」
太助「え、アレ動力電池なん!?」
シャオ「くっ…だから買う時『フンパツしても自動充電タイプ買うべき』って言ったんです…っ!」
てゆーかどこで買ったんだ。
シャオ「しかも、こっそり見たりするならまだしも…堂々と目の前でのほほんとお食事ですか…」
拳を握り声を張り上げると、立ち上がってびしりとのほほんな奴等に人差し指を突きつける。
シャオ「アンタらポケポケし過ぎーっ!!!」
太助「うわ、お前が言うか」
シャオ「うるさいよ!」
TAKASI「しかしだな、俺思うんだけどさ」
翔子「なんだよ」
TAKASI「以前まで、太助ってめっちゃ性格スレてる野郎だと思ってたんだが」
太助「何だとバカヤロウ」
TAKASI「――…だけどよ、シャオちゃんやキリュウちゃん達が来てから、随分丸くなったんじゃないか?」
太助「…そうか?」
翔子「あー、確かに以前と比べればそうかも」
花織「私の場合は今の七梨先輩しか知らないけど」
出雲「…と言うより、彼以上にスレてる人が現れたからそう見えるのではあぶし」
シャオ「…誰の事ですか、誰の(拳)」
出雲しゃんおおむね正解。
ルーアン「でも、確かに丸くはなったかもね? 最近そうそう酷い事しないし」
太助(代わりにお前等が無茶やってるがなぁ…)
ルーアン「――となると…シャオ。私達の役目は終わったんじゃないかしら?」
シャオ「そうですねぇ」
キリュウ「!? そ、そんなあっさり…」
シャオ「だってねぇ…――元来、私達の目的は『太助様の更正』だったんですから」
キリュウ「し、しかしだな…ここで帰ったら、『壊月天』は終わっちゃうのでは無いか!?」
シャオ「ふぅ、ん――…引っ込み思案娘が、随分言うようになったわね? 『SMW』で一位キープ中だからかしら!?」
注)SMW=スーパー萌えキャラ大戦の略。調査室参照。(2002年11月8日現在)
キリュウ「な、なにをそんな…」
太助「キリュウ、口元がニヤついてるぞ」
キリュウ「う…(照)」
シャオ「フン、たかだか一位で……………………」
太助「? そいえばシャオって何位だ?」
シャオ「…3票」
太助「…え?」
シャオ「…3票です!! なんでぇ!? 私『守護月天』のヒロインよ!? ネット上でのCGだってダントツで私の方が多いのよ!? なのになんで!? あまつさえオリキャラの猫耳姉妹にすら負けてんじゃん自分!!」
太助「落ち着け!」
翔子(…私も同率だし)
太助「多分だがな、シャオ――…この結果はこのランキングだからだと思うんだ」
シャオ「…?」
太助「絶対これ(壊月天)で人気落としてると思うぞ、お前」
事実。
シャオ「うわ〜〜〜〜〜〜〜ん〜〜〜っ!! もー来ねーよーーーーーっ!!!ヽ(TДT)ノ」
号泣するシャオは、屋上から飛び降りた。
シャオ「いいもん! こんなシリーズ今回で終了ですっ! 次回からは『壊ラブひな』でも『壊月姫』でもやれば良いんです!!」
そのままダッシュで一直線に民家を破壊しながら、去っていった…。
……。
太助「シャオ…………なんでも『壊』付けりゃ良いってもんじゃ無ぇぞ…」
夜。イブニング――の、七梨家。
太助「…結局、シャオ帰って来なかったな」
キリュウ「そう、だな…」
ルーアンの姿が見えない。彼女は教師達の会議があるとかで、遅くなるらしい。
太助「ふむ…」
キリュウ「……。」
太助「しかし、なんだな……二人きりだと、間が持たないな」
キリュウ「……そ、そうか?――…て、テレビでも付けよう」
太助「そ、そだな」
ぽちっ。
テレビ『“戦わなければ生き残れない!”』
………ムードはぶち壊しだったが、気まずい雰囲気はなんとか解消された。二人とも“ソレ”を無言で見て、…30分後。
太助「まさか『戦いを続ける』がラストに選ばれるとはな――…どした?キリュウ…」
キリュウ「私、足りない女になる!」
太助「何ィ!?」
ハマっちゃったらしい。
“ソレ”が終わり次の番組までの、CM時間。再び無言の雰囲気がリビングを支配する。
太助「…そいや、飯食べないとな…」
キリュウ「そ…ぅだ、な――既に米は炊いた。…オムライスで良いか?」
太助「あ、俺も手伝う――…なんかやってねーと落ち着かん」
キリュウ「なら、卵とケチャップ、鶏肉、タマネギを冷蔵庫から出してくれ」
太助「了解」
キリュウは椅子に掛けてあったエプロンを着けると、思い出したように太助に付け加えた。
キリュウ「む、それとひき肉が少し余っていたな――それも出してくれ。甘辛く炒めてチキンライスに混ぜよう」
太助「OK」
…なんかどんどん料理のレパートリー増えていくなァ、と思いながら太助は冷蔵庫を開け、言われた通りの物を取り出した。
太助「卵二個あったが…一個ゆでてあったぞ」
まな板の脇に出した材料を置きそう伝えると、タマネギを切り始めたキリュウは微塵切りしながらむー、と思案した。
キリュウ「…時々そういうのあるな。構わない。余っていた野菜とでサラダにでもしてしまおう」
太助「…なぁキリュウ」
キリュウ「?」
太助「お前さ、主婦の才能あるぞ」
“ずぶしっ”
キリュウ「はぐぅっ!?」
太助「おぉぅキリュウ!?」
キリュウ「ああ…大丈夫、少し切っただけだから――」
太助「“少し”でまな板全域が真っ赤になるかっ!! めっさ血ぃ出とるやん!」
そう言ってる間にも鮮血はだぼだぼ流れる。
太助「えーっと止血止血…――バンソーコーじゃ足りねーな…ちょっと傷タオルで押さえて待ってろ。救急箱探してくる」
キリュウ「痛……――それにしても、主殿…なんという戯事を……私が…しゅ、主婦などと…」
翔子「いや、それはそれで意外と似合うかもしれねーぞ?」
キリュウ「!?」
出雲「となると、太助君が旦那ですか。――うん、キリュウさんなら上手く彼をカバー出来そうですねぇ」
キリュウ「!!?」
花織「悔しいけど、家事では私よりキリュウさんの方が上ですもんね…料理も美味しかったし――応援します、私!」
キリュウ「!!!???」
TAKASI「ハッ、太助の奴も幸せモンだよな、こんな良い嫁さん貰えてよ!」
キリュウ「!!!!????」
何時の間にかハナシが婚約にまで発展して…――いや、そんな事は二の次だ。
太助「貴様らどっから沸いたぁぁぁぁーーっ!!」
――しばらくお待ち下さい――
太助「ハァッ…ハァッ…ふしゅーっ…」
死骸散々…52秒で乱入者4人を潰した太助は、息を整えてキリュウに向き直った。
太助「あ、そだキリュウ。――はい、包帯。それと消毒液」
キリュウ「う、うん…」
自分の手に結ぶという行為は難しく、結局太助が彼女の腕を消毒し、包帯を巻く。
再び無言の空気。
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
TAKASI「助けて下さいシャア少佐!家賃が払えません!!」
“どごすっ”
太助「……なんだ、寝言か」
キリュウ「…寝ている相手の首にかかと落としは下手すりゃ取り返しつかないんじゃ…」
太助「ああ、そうかもしれないな…」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
太助「……。」
キリュウ「……。」
“トゥルルルルルルル”
太助「っ!! 電話っすかぁーっ!?」
ともかく廊下に出、うるさく鳴り続ける電話へ足を向ける。
“トゥルル?”
太助「いや自信持て」
“ガチャ”
太助「もしもし?」
ルーアン『キャハハハハ☆ ヤッホーたー様〜♪』
太助「……。」
知らない人だ。
ルーアン『あのねー、会議が終わってねー、みんなで飲みに行こーってなったのよ〜』
太助「…どれだけ飲んだ」
ルーアン『んー、みんな沢山飲んで食べてね、3軒の店が『もう出す物ありません』ってくらい〜』
太助「何くだらねー記録作ってんだウチの教師どもは…」
ルーアン『それでね、次の店行く途中で、テレビ局の人に呼びとめられてね。『カメラに向かってごめんなさい』ってのやったの〜凄いっしょ、テレビよテレビ〜』
太助「…これ以上恥晒す前にさっさと帰ってきやがれ酔っ払い」
その言葉だけ伝えると、一方的に電話を切った。
太助「ったく…同じ精霊でもえれぇ違いだ」
キリュウ「ルーアン姉ぇからか?」
太助「いや…俺達の知らない奴だ」
“トゥルルルルルルル”
太助「だぁぁぁぁぁっ!!!」
“ガチャ!”
太助「今度は何だ!?」
那奈『ニャハハハハ☆ ヒーホー太助〜♪』
太助「……〜〜〜〜〜〜。」
知らない姉だ。
那奈『あのねー、今ねー、久々に日本に戻ってきたんだけどぉ。テレビ局の人に呼びとめられてね。『さんまのカラクリ』なんちゃらってのに出てるのよぉ』
太助「…あの企画か」
久々に帰国して、実家に帰って来ないでなにやってんだか。
那奈『安住アナもいるのよ〜握手しちゃった〜っ』
太助「…七梨一族の恥晒しが」
ともあれ那奈が伝えた問題に軽く解答し、太助は大きく溜息をついて受話器を戻した。
刹那。聞き覚えの無い声が二人を硬直させた。
???「――そこまでですじゃ!」
太助&キリュウ「「…っ! 誰だっ!?」」
突然現れたこの声の主。この者は一体誰!?(いまさら)
――次回に続くっ!!(熱血風に)
〜つづく〜
(なんじゃこりゃ。エセラブコメ風味)
ハルカの勝手コメント
ハイ! レイさん作「まもって守護月天〜22Century〜」31話目をお届けしました!
今回、ハルカ的には100点通り越して余裕で1000点くらい付けたい気分です。
も う 最 高 !
別に紀柳さんが可愛かったとか、そういうことじゃないですよ。ええ断じて違います(ホントですよ)
今回、ボケとツッコミのテンポが完全にハルカのツボにはまりまくってくれました。
やっぱ壊月天のTAKASIは最高。大好きです(^^
レイさん、どうも投稿ありがとうございました♪