まもって守護月天

〜22Century〜

 

 

〜3話(海行きてぇ(死))〜

 

 

 

太「…眠れない」

 そう呟いて、太助は深夜の暗い廊下をゆっくりと歩いていた。

太「やっぱり下手に徹ゲーやると、睡魔飛んじまうなァ…」

 ――…今回は珍しく原作通りだと思っていたが――実際は、先日たかしに借りた

『ファミコン、クソゲー50本』をプレイしていたのだ。

太(マジでつまらなかったな…――あー、何か時間をムダにした気分…)

 中には(あまりに馬鹿馬鹿しくて)面白いものもあったが、そのほとんどが彼の

及第点を軽く下回るものだった。バカプレイもしてみたが、然程面白くなかった。

太「あー…しかも無茶苦茶蒸し暑いし――…冷蔵庫のビールでも飲むか…」

 ――…コイツ本当に中学生か?

 

 

 

“ギ…”

 

 

 

 

 

 

 

“ギ…”

 

 1歩1歩と足を進める度に床が悲鳴を上げる――

太(老朽化してるよな――…ワープ床にしりゃぁ良いのに…)

 暑さのせいか、かなり無茶な事を言いつつ、彼はピタ、とある部屋の前で足

を止めた。

 

『シャオの部屋』

 

 

 

 

 

 ………………………………………。

 

 

 

 

 

太「………」

 

 

 

 やはり太助君もおっとこのこ…って事で、気になる

 

 

太(…既に壊・月天なんだから、18禁主人公的行動取っても良いよな…)

↑注:14歳です。

 

 そう太助が不届きな事を考えてると――

 

 

“……シャッ…”

 

 

 

太「……?」

 

 金属を磨る様な音――

 

 

 

“……シャッ…”

 

 

 

 

 ――そう、丁度包丁を研ぐ感じの――

 

 

“……シャッ…”

 

 

 

 

 どこからと言えば――…間違いなく、目の前のドアの向こうから聞

こえてくる――

 

 

 

太「…さぁ…て、ビール飲んでさっさと寝るかな…」

 

 そう言って、彼は恐怖の形相でキッチンの方へ急いだ。

 

 

 

 

 

シャ「…(にやそ)」

 

 

 

 

 

 

 夜は明けて朝。

 

 

シャ「? 太助様、どーしたんですか? ボーっとして」

太「いや…――シャオ、昨日何してた

シャ「………いえ? 普通に寝てましたけど…」

太「…そう…か…?」

シャ「(にやそ)」

太「!? 今何か怪しく笑わなかったか!?」

シャ「いいえ♪(笑顔)」

太「…そっか――」

 そう納得し、太助はリビングを去っていった。

 

 

 

 ――3分後。

 

 

 

太「このぃぃぃぃぃぃぃっ…(息継ぎ)いぃっ!!

 

 物凄い勢いでリビングのドアを蹴破り太助は入って来る――その手には巨大な

肉切り包丁が…。

 

シャ「太助様…まさかそれで私を…」

太「うははは――って、違ぇっ!! 手前ぇの部屋覗いたら、こんなモンと磨ぎ石

  あったんだよ!!」

シャ「そんな…乙女の部屋を覗くなんて…最低

太「今の貴様に言われても何とも思わんわ

 

 …もうコイツを乙女だと思わない。鬼婆か夜叉だ。

 

 

翔「よぉ、お二人さん」

シャ「まぁ翔子さん」

太「どっから入ってきやがった山野辺

翔「いきなり随分な挨拶だな七梨

太「玄関の音もしなかったぞ

翔「当然。だって玄関通ってねーもん

太「お前も引き出しからか

 

翔「へ…? アタシは普通に窓からだが」

シャ「それは普通じゃ無いですよぉ」

太&翔「「お前には言われたくないっての」」

 

 

 

翔「…って事で、海に行こうぜ」

太「『って事』ってどういう事だ?

シャ「話飛び過ぎです〜」

翔「性格悪ぃな手前ら…物語進めねぇつもりか?

 …元々これにストーリーなど皆無だが――

太&シャ「(互いを指差し)コイツよりマシだ(です)

 

翔(…コイツらマジで主従関係か?)

 

太「て…手前ぇ自分が俺よりマトモな性格だと思ってんのか!?

シャ「それはこっちのセリフです! 私はアナタの性格更正の為にいるんですよっ!

 

 言い争ってる二人を見つつ、次第とこの2人の関係を疑わしく思えてきた翔子であった。

 

 

 

 

 

 

 青い海!

 

 白い砂浜!!

 

 輝く太陽!!!

 

 そして浜辺に落ちた花火カスやらゴミクズ!

   更に不味いヤキソバ&おでん!

 極めつけは辺りで戯れるアベックの方々!!

 

 

 

太「って!何か違ぇ

 ぇぇぇっ!!!

 

翔「をい。…七梨大暴走だな」

太「ここは湘南海岸じゃねーんだぞ!!!

 ――でも実際こんなモンです。日本の海水浴場は(←誤解)。

 

 既に水着に着替えた3人(ちなみにシャオは以前パクったパレオ)は、そんな状

況の海岸を眺めている。

シャ「…ご不満ですか?太助様」

太「当たり前だのクラッカーだ!!

翔「いつの時代の人間だ手前ぇは

 

シャ「…そうですか――ちょっと待ってて下さい…」

 

太「何する気だ。ンな物騒なモン持って」

 かなり大きめの日本刀を構えて砂浜に向かおうとするシャオを、太助は即座に呼

び止める。

シャ「いえ、ちょっと二、三人生贄を…そうすれば、客が空くかなぁ

   と思って…」

太「お前帰れ

シャ「ひ…ひどいわ太助様…(涙)」

太「う…」

翔「なーかした♪ なーかした♪」

太「うぐぅ…」

シャ「そんな御主人――

 

 

 

“ボグシャァァァァァ!!!”

 

 

太「げふぅっ――」

 

 

 強烈なアッパーが炸裂――太助は吐血しつつ15m程の高さまで飛翔――

 

シャ「修正してやるぅっ!!

 

 

“ドグフゥゥゥ!!!”

 

 

 太「ギャース!!?」

 

 

 彼の肢体が落下する瞬間、更に彼女の回し蹴りが炸裂――そして共同トイレのコ

ンクリ壁に叩きつけられる。

 

 

 

 

太「くっ…!――2度もぶったな!!? 親父に

 だってぶたれた事無いのに!

 

翔「何で無事だ

 

シャ「そうですよぉ。――それに2度目は蹴りでしたよ

翔「シャオ、論点違う

シャ「…とりあえず、そーいう事は置いといて、海に来たんですから泳ぎましょう」

翔「そだな」

 

 

 

 

 

 

太「って待てやコラァァァッ!!!

 血みどろの太助を余所に、2人は海の方へ走っていった。

 

 

 

 

 

翔「シャオ、これを持って、『太助様ぁ〜♪ オイル塗って下さい〜♪』って言っ

  てこい」

 そう言うと、シャオは目の前にその渡された小瓶を掲げ、

シャ「これ…オイルなんですか?」

翔「そうだ」

シャ「オイルと言うと…火を点ける為の…――! まさか翔子さん…太助様

  に罪を被せて私を殺す計画を!?

翔「その発想はどっから来るんだどっから

 

 

 

 

 

 

シャ「太助様ぁ〜♪ オイル塗って下さい〜♪」

太「何を企んでる

シャ「やだなぁ。今回は何も企んでませんよ〜」

 

 →訳:いつも企んでいる。

 

 そう言って、シャオはサンオイルを差し出す。

 

 

太「ふむ…」

 ふと、想像を働かす。

 

 シャオの肌にオイルを塗る→こっそり火を点けるファイヤー

 

太「……(にやそ)」

シャ「やったら…そのまま抱きつきますよ?(妖笑)」

 

太「ふふふふ…」

シャ「ククククク…」

太「ふはははは…」

シャ「クハハハハハっ!!」

太「ハーッハッハッハッハ!!!

シャ「アハハハハハハハッ!!!

 

 

太&シャ「何が可笑しい!!!

 

 

 

 

 <サンオイル計画:失敗(結局シャオがキレて、太助が宙に舞った)>

 

 

 

 場所は変わって海中。

 

シャ「わ〜っ♪太助様〜楽しいです〜♪」

 

“ザバァッ!”

 

 そう言って太助の方に手で波(←2m)を起こす。

 

太「ご…ごふっ(←鼻に水入った)――やったなシャオ〜♪」

 

 太助も笑顔でシャオの方に手で波(←3m)を起こす。

 

“ザバァァァッ!”

 

シャ「ゲホッゲホッ…!(←肺に水入った)――よくもやりましたねっ♪」

 

“ザバァァァァァァァッ!!!”

 

太「ぐはっ…!(←一瞬溺れる)――やりやがったなテメっ!!」

 10mをも越える波を掛けられ、太助は腕を振り回し、波を次々とシャオの方に

起こす。

 

太「ていていてぇぇいっ!!

シャ「このこのこのぉぉぉっ!!

太「オラオラオラオラオラぁっ!!!

シャ「無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁっ!!!

太「メン!ツキ!!ドォォォォッ!!!

シャ「凩!旋!!嵐ぃっ!!!

 

 

 

<海で戯れ計画:失敗(ってか、コイツらを親密にさせるの無理だと薄々思い始め

 て来た… by翔子)>

 

 

 

 

シャ「太助様〜♪」

太「今度はどんな作戦だ?

シャ「毒入りアイスクリーム殺人事件です

太「いらんわ

 

 

シャ「…太助様要らないようです」

翔「当たり前だ

シャ「…って事で、翔子さん食べてください♪」

翔「アタシを殺す気か?

シャ「大丈夫です。軽い弛緩剤ですから」

翔「マジで入ってたのか――尚要らぬわ

シャ「ふにゅ…――しょうがない…お魚さんにでもあげますか…」

翔「自分で喰え

 

 

太「ふっ…改めてヤツ(シャオの事)の危険性を知る事が出来たぜ…(遠い目)」

 そう曇り空を眺める彼――その目は遥か地平線の向こうを眺めていた。

 

 

 

 

翔「あっ七梨―っ!!」

 

 

太「あ? 山野辺? どした?」

翔「お前たちの事探してたんだよ――…あれ? シャオは?」

太「へ? ――アイツ…イベント1つ抜かしやがったのか!」

翔「は?」

太「ホレ見ろ…(単行本1巻P109〜110を見せる)」

翔「あぁホントだ――つーか七梨、何故にこんなモン持ってる

太「買ったからだ

 

 その刹那、翔子の『ジャン拳』が太助の顔面に直撃した。

 

 

 

太「…思いっきり『チョキ』やりやがって…鼻の穴が元気くんになったぞ…」

翔「(無視)とりあえず、探しに行け」

太「濡れるの嫌だから後で

翔「石結び付けて海に沈めたろうか?

太「そういう事言う人嫌いだぞ…――シャオみたいになっちゃうぞ

    ↑原作では考えられない言動。

翔「いいから行け。シャオがこのままいなくなるとこのSS、今回で

 最終回になる

 

 …結局、最後のその言葉によって太助は雨の降る中シャオを探しに行った。

 

 

 

 

太「シャオ――っ!!!」

 

 

 

太「シャオ様〜っ!!」

 

 

 

太「シャオ殿ぉーっ!!」

 

 

 

太「Hey!Mr.シャオリ――ン!!」

 

 

太「って、女性は『Ms』だろーが!(ツッコミ)」

 

 ……………。

 

 ……………。

 

 ……………。

 

 

 

太「あー…何か『自分ボケツッコミ』って凄ぇ虚しい………ハァ」

 

 

 

 

シャ「太助様ぁぁっ!!」

 

太「あぅ…遂に何か幻聴が聞こえ始めた…」

 

 

 

シャ「太助様ってばぁっ!!」

 

 

太「あぁ…パトラッシュ…僕もう疲れたよ…(あっちの世界へ行きかけ)」

 

 

シャ「誰が…パトラッシュじゃぁっ!!!

 

 

“バシュゥッ――!”(←ビーム)

 

 

 

太「ギャァァァッ!

 

 

“ドォォォォォンッ!!”

 

 

 上空にいたシャオの目から放たれたビームが太助に直撃、そして爆発――

 

 

 

シャ「フッ…『怪人『タスケ男』を倒した時空刑事シャオ

  リン! 悪の野望を打ち砕くまで、彼女の戦いは

  続く!』(←ナレーション)」

 

 

 

 

太「ふっざけんなぁぁぁぁっ!!! 誰が

 怪人タスケ男じゃいっ!!

シャ「出たな復活怪人ネオ・タスケ男!」

太「うっさい止めい。つーか『時空刑事シャオリン』って何だ」

シャ「新番組です

太「大ボラ拭くな馬鹿精霊

 

 

シャ「…とりあえず、これ頭につけて下さい」

太「あぁ?」

シャ「タケコ●ターです」

太「だから…普通に軒轅使え

シャ「…えー…しょうがないなぁ♪太助様は♪」

太「………」

 

ぺかぺかん(←効果音)”

シャ「星神『軒轅』〜♪」

太「…文面では判らないだろうが…このフラッシュバック効果音はどうやってだ

  してるんだ?」

シャ「22世紀の科学力ですっ♪」

太「………」

 そう言って支天輪から取り出した軒轅は――完全にグロッキー状態だった。

シャ「あらあら…電池切れですねぇ…

太「『疲れてる』と言え

シャ「そうとも言いますね」

太「生物に電池などと言わないだろーが

シャ「…とにかく、ちょっと待って下さいね…」

 

 そう言ってシャオは軒轅の横にしゃがみ、何やらゴソゴソと――

 

 

“ギィコ…ギィコ…ギィコ…”

 

 

太「!!? 今なんかネジ巻き音が聞こえなかったか!?」

シャ「幻聴ですよ(にやそ)」

 

 

 

シャ「太助様に見せたい物があるんです」

太「…?」

 何故か元気になった軒轅に乗り、シャオと太助は何時の間にか晴れた空を飛んで

いた。

 

シャ「この辺ってお魚さんがいっぱいとれるんですよね」

太「???」

シャ「沖の方に行くと、サメさんやクジラさんも…」

太「どこまで行ってるんだヲイ――…つーか、まさか…」

シャ「太助様の為に」

太「サメさんやクジラさんをゲットしてきたのか

シャ“グッ!(←親指立ててウインク)”

太「サメは知らんが捕鯨は確か法律で禁止されてんじゃ

 なかったか?

シャ「見つからなければ問題無いです

太「最悪だな

 

 

 

 

 

 

 そして夕方。

 

翔「んじゃな。今日は楽しかったぜ――良い土産も出来たしな」

 そう言って軽く挨拶しつつ彼女は担いだ大型の魚を太助達の方に掲げる。

太「あぁ。俺達だけじゃ食いきれねーからな…」

翔「ところ七梨。良かったなぁ、シャオの水着姿が見れて」

太「別に…――最近いろいろあったからな。バケモノが水着着てるようにしか感じ

  られん」

翔「……でも、結構“ないすばでぃー”だったぞ」

太「もうそれくらいじゃ驚かねーよ…」

シャ「そうですよっ。太助様は、私の裸なんか何度も見てるんですから!

翔&太「!!?

シャ「…主人という事を利用して、私が入浴してい

  る時に突然入ってきて押し倒し、挙句に

  は胸まで揉みしだかれ

太「待てぇぇぇ!! 俺はンな命知らずな事し

 た覚えはねぇぞっ!!!!――って山野辺、

 俺をそんな軽蔑の眼差しで見るなぁっ!!

翔「最低だな…七梨

太「うぁぁぁっ!! 俺はそんな事をした覚え

 なんて!…いや、してない筈…」

 

 2人の女性に“そういう眼差し”を向けられ、段々記憶が曖昧になって行く――

 

太「あぅぅ…俺は…俺は…やってないんだぁ

 ぁぁぁっ!!

 

 

 

 …そう叫びながら、太助は夕日に向かって泣きながら走っていった。

 

 

 

 

 

〜つづく〜

(嗚呼…何だか翔子殿が1番マトモに見えてきた(笑)次回は陰陽神主登場!(ぉ)


ハルカの勝手コメント

 ああ、遂に太助君まで壊れた(笑)

 月天キャラがどんどん壊れていくこの作品、もう最高!!

 さてさて、お次の生け贄(オイ)は出雲さん。 ………ん、陰陽神主?

 はっはっは、陰陽術とはこれまた渋い(?) みなさん、続編に期待です♪

 

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