太「…眠れない」
そう呟いて、太助は深夜の暗い廊下をゆっくりと歩いていた。
太「やっぱり
下手に徹ゲーやると、睡魔飛んじまうなァ…」――…今回は珍しく原作通りだと思っていたが――実際は、先日たかしに借りた
『ファミコン、クソゲー50本』をプレイしていたのだ。
太(マジでつまらなかったな…――あー、何か時間をムダにした気分…)
中には(あまりに馬鹿馬鹿しくて)面白いものもあったが、そのほとんどが彼の
及第点を軽く下回るものだった。バカプレイもしてみたが、然程面白くなかった。
太「あー…しかも無茶苦茶蒸し暑いし――…冷蔵庫のビールでも飲むか…」
――…コイツ本当に中学生か?
1歩1歩と足を進める度に床が悲鳴を上げる――
太(老朽化してるよな――…
ワープ床にしりゃぁ良いのに…)暑さのせいか、
かなり無茶な事を言いつつ、彼はピタ、とある部屋の前で足を止めた。
………………………………………。
太「………」
やはり太助君も
おっとこのこ…って事で、気になる。
太(…既に壊・月天なんだから、
18禁主人公的行動取っても良いよな…)↑注:14歳です。
そう太助が不届きな事を考えてると――
太「……?」
金属を磨る様な音――
――そう、丁度包丁を研ぐ感じの――
どこからと言えば――…間違いなく、目の前のドアの向こうから聞
こえてくる――
太「…さぁ…て、ビール飲んでさっさと寝るかな…」
そう言って、彼は恐怖の形相でキッチンの方へ急いだ。
シャ「…(にやそ)」
夜は明けて朝。
シャ「? 太助様、どーしたんですか? ボーっとして」
太「いや…――シャオ、
昨日何してた」シャ「………いえ? 普通に寝てましたけど…」
太「…そう…か…?」
シャ「(にやそ)」
太「!? 今何か怪しく笑わなかったか!?」
シャ「いいえ♪(笑顔)」
太「…そっか――」
そう納得し、太助はリビングを去っていった。
――3分後。
太「
この外道精霊ぃぃぃぃぃぃぃっ…(息継ぎ)いぃっ!!」
物凄い勢いでリビングのドアを蹴破り太助は入って来る――その手には
巨大な肉切り包丁が…。
シャ「太助様…まさかそれで私を…」
太「うははは――って、違ぇっ!! 手前ぇの部屋覗いたら、こんなモンと磨ぎ石が
あったんだよ!!」
シャ「そんな…乙女の部屋を覗くなんて…最低」
太「今の貴様に言われても何とも思わんわ」
…もうコイツを乙女だと思わない。鬼婆か夜叉だ。
翔「よぉ、お二人さん」
シャ「まぁ翔子さん」
太「どっから入ってきやがった山野辺」
翔「いきなり随分な挨拶だな七梨」
太「玄関の音もしなかったぞ」
翔「当然。だって玄関通ってねーもん」
太「お前も引き出しからか」
翔「へ…? アタシは普通に窓からだが」
シャ「それは普通じゃ無いですよぉ」
太&翔「「お前には言われたくないっての」」
翔「…って事で、海に行こうぜ」
太「『って事』ってどういう事だ?」
シャ「話飛び過ぎです〜」
翔「性格悪ぃな手前ら…物語進めねぇつもりか?」
…元々これにストーリーなど皆無だが――
太&シャ「(互いを指差し)コイツよりマシだ(です)」
翔(…コイツらマジで主従関係か?)
太「て…手前ぇ自分が俺よりマトモな性格だと思ってんのか!?」
シャ「それはこっちのセリフです! 私はアナタの性格更正の為にいるんですよっ!」
言い争ってる二人を見つつ、次第とこの2人の関係を疑わしく思えてきた翔子であった。
青い海!
白い砂浜!!
輝く太陽!!!
そして浜辺に落ちた花火カスやらゴミクズ!
更に不味いヤキソバ&おでん!
極めつけは辺りで戯れるアベックの方々!!
太「
って!何か違ぇぇぇぇっ!!!」
翔「をい。…七梨大暴走だな」
太「ここは湘南海岸じゃねーんだぞ!!!」
――でも実際こんなモンです。日本の海水浴場は(←誤解)。
既に水着に着替えた3人(ちなみにシャオは以前パクったパレオ)は、そんな状
況の海岸を眺めている。
シャ「…ご不満ですか?太助様」
太「当たり前だのクラッカーだ!!」
翔「いつの時代の人間だ手前ぇは」
シャ「…そうですか――ちょっと待ってて下さい…」
太「何する気だ。ンな物騒なモン持って」
かなり大きめの日本刀を構えて砂浜に向かおうとするシャオを、太助は即座に呼
び止める。
シャ「いえ、ちょっと二、三人生贄を…そうすれば、客が空くかなぁ
と思って…」
太「お前帰れ」
シャ「ひ…ひどいわ太助様…(涙)」
太「う…」
翔「なーかした♪ なーかした♪」
太「うぐぅ…」
シャ「そんな御主人――」
太「げふぅっ――」
強烈なアッパーが炸裂――太助は吐血しつつ15m程の高さまで飛翔――
シャ「
修正してやるぅっ!!」
太「ギャース!!?」
彼の肢体が落下する瞬間、更に彼女の回し蹴りが炸裂――そして共同トイレのコ
ンクリ壁に叩きつけられる。
太「
くっ…!――2度もぶったな!!? 親父にだってぶたれた事無いのに!
」
翔「
何で無事だ」
シャ「そうですよぉ。――それに
2度目は蹴りでしたよ」翔「シャオ、
論点違う」シャ「…とりあえず、そーいう事は置いといて、海に来たんですから泳ぎましょう」
翔「そだな」
太「
って待てやコラァァァッ!!!」血みどろの太助を余所に、2人は海の方へ走っていった。
翔「シャオ、これを持って、『太助様ぁ〜♪ オイル塗って下さい〜♪』って言っ
てこい」
そう言うと、シャオは目の前にその渡された小瓶を掲げ、
シャ「これ…オイルなんですか?」
翔「そうだ」
シャ「オイルと言うと…火を点ける為の…――! まさか翔子さん…
太助様に罪を被せて私を殺す計画を!?」
翔「その発想はどっから来るんだどっから」
シャ「太助様ぁ〜♪ オイル塗って下さい〜♪」
太「何を企んでる」
シャ「やだなぁ。今回は何も企んでませんよ〜」
→訳:いつも企んでいる。
そう言って、シャオはサンオイルを差し出す。
太「ふむ…」
ふと、想像を働かす。
シャオの肌にオイルを塗る→こっそり火を点ける→ファイヤー
太「……(にやそ)」
シャ「やったら…
そのまま抱きつきますよ?(妖笑)」
太「ふふふふ…」
シャ「ククククク…」
太「ふはははは…」
シャ「クハハハハハっ!!」
太「
ハーッハッハッハッハ!!!」シャ「
アハハハハハハハッ!!!」
太&シャ「
何が可笑しい!!!」
<サンオイル計画:失敗(結局シャオがキレて、太助が宙に舞った)>
場所は変わって海中。
シャ「わ〜っ♪太助様〜楽しいです〜♪」
そう言って太助の方に手で波(←2m)を起こす。
太「ご…ごふっ(←鼻に水入った)――やったなシャオ〜♪」
太助も笑顔でシャオの方に手で波(←3m)を起こす。
シャ「ゲホッゲホッ…!(←肺に水入った)――よくもやりましたねっ♪」
太「ぐはっ…!(←一瞬溺れる)――やりやがったなテメっ!!」
10mをも越える波を掛けられ、太助は腕を振り回し、波を次々とシャオの方に
起こす。
太「
ていていてぇぇいっ!!」シャ「
このこのこのぉぉぉっ!!」太「
オラオラオラオラオラぁっ!!!」シャ「
無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁっ!!!」太「
メン!ツキ!!ドォォォォッ!!!」シャ「
凩!旋!!嵐ぃっ!!!」
<海で戯れ計画:失敗(ってか、コイツらを親密にさせるの無理だと薄々思い始め
て来た… by翔子)>
シャ「太助様〜♪」
太「
今度はどんな作戦だ?」シャ「
毒入りアイスクリーム殺人事件です」太「
いらんわ」
シャ「…太助様要らないようです」
翔「
当たり前だ」シャ「…って事で、翔子さん
食べてください♪」翔「
アタシを殺す気か?」シャ「大丈夫です。軽い
弛緩剤ですから」翔「マジで入ってたのか――
尚要らぬわ」シャ「ふにゅ…――しょうがない…お魚さんにでもあげますか…」
翔「
自分で喰え」
太「ふっ…改めてヤツ(シャオの事)の危険性を知る事が出来たぜ…(遠い目)」
そう曇り空を眺める彼――その目は遥か地平線の向こうを眺めていた。
翔「あっ七梨―っ!!」
太「あ? 山野辺? どした?」
翔「お前たちの事探してたんだよ――…あれ? シャオは?」
太「へ? ――アイツ…イベント1つ抜かしやがったのか!」
翔「は?」
太「ホレ見ろ…(単行本1巻P109〜110を見せる)」
翔「あぁホントだ――つーか七梨、
何故にこんなモン持ってる」太「
買ったからだ」
その刹那、翔子の『ジャン拳』が太助の顔面に直撃した。
太「…思いっきり『チョキ』やりやがって…鼻の穴が元気くんになったぞ…」
翔「(無視)とりあえず、探しに行け」
太「
濡れるの嫌だから後で」翔「
石結び付けて海に沈めたろうか?」太「そういう事言う人嫌いだぞ…――
シャオみたいになっちゃうぞ」↑原作では考えられない言動。
翔「いいから行け。シャオがこのままいなくなるとこのSS、今回で
最終回になる」
…結局、最後のその言葉によって太助は雨の降る中シャオを探しに行った。
太「シャオ――っ!!!」
太「シャオ様〜っ!!」
太「シャオ殿ぉーっ!!」
太「Hey!Mr.シャオリ――ン!!」
太「って、女性は『Ms』だろーが!(ツッコミ)」
……………。
……………。
……………。
太「あー…何か『自分ボケツッコミ』って凄ぇ虚しい………ハァ」
シャ「太助様ぁぁっ!!」
太「あぅ…遂に何か幻聴が聞こえ始めた…」
シャ「太助様ってばぁっ!!」
太「あぁ…パトラッシュ…僕もう疲れたよ…(あっちの世界へ行きかけ)」
太「
ギャァァァッ!」
上空にいたシャオの目から放たれたビームが太助に直撃、そして爆発――
シャ「フッ…
『怪人『タスケ男』を倒した時空刑事シャオリン! 悪の野望を打ち砕くまで、彼女の戦いは
続く!』(←ナレーション)」
太「ふっざけんなぁぁぁぁっ!!! 誰が
怪人タスケ男じゃいっ!!」
シャ「出たな復活怪人ネオ・タスケ男!」
太「うっさい止めい。つーか『時空刑事シャオリン』って何だ」
シャ「新番組です」
太「大ボラ拭くな馬鹿精霊」
シャ「…とりあえず、これ頭につけて下さい」
太「あぁ?」
シャ「タケコ●ターです」
太「だから…普通に軒轅使え」
シャ「…えー…しょうがないなぁ♪太助様は♪」
太「………」
シャ「星神『軒轅』〜♪」
太「…文面では判らないだろうが…このフラッシュバックと効果音はどうやってだ
してるんだ?」
シャ「22世紀の科学力ですっ♪」
太「………」
そう言って支天輪から取り出した軒轅は――完全にグロッキー状態だった。
シャ「あらあら…電池切れですねぇ…」
太「『疲れてる』と言え」
シャ「そうとも言いますね」
太「生物に電池などと言わないだろーが」
シャ「…とにかく、ちょっと待って下さいね…」
そう言ってシャオは軒轅の横にしゃがみ、何やらゴソゴソと――
太「!!? 今なんかネジ巻き音が聞こえなかったか!?」
シャ「幻聴ですよ(にやそ)」
シャ「太助様に見せたい物があるんです」
太「…?」
何故か元気になった軒轅に乗り、シャオと太助は何時の間にか晴れた空を飛んで
いた。
シャ「この辺ってお魚さんがいっぱいとれるんですよね」
太「???」
シャ「沖の方に行くと、サメさんやクジラさんも…」
太「どこまで行ってるんだヲイ――…つーか、まさか…」
シャ「太助様の為に」
太「
サメさんやクジラさんをゲットしてきたのか」シャ“
グッ!(←親指立ててウインク)”太「サメは知らんが
捕鯨は確か法律で禁止されてんじゃなかったか?
」シャ「
見つからなければ問題無いです」太「
最悪だな」
そして夕方。
翔「んじゃな。今日は楽しかったぜ――良い土産も出来たしな」
そう言って軽く挨拶しつつ彼女は担いだ
大型の魚を太助達の方に掲げる。太「あぁ。俺達だけじゃ食いきれねーからな…」
翔「ところ七梨。良かったなぁ、シャオの水着姿が見れて」
太「別に…――最近いろいろあったからな。バケモノが水着着てるようにしか感じ
られん」
翔「……でも、結構“ないすばでぃー”だったぞ」
太「もうそれくらいじゃ驚かねーよ…」
シャ「そうですよっ。太助様は、
私の裸なんか何度も見てるんですから!」翔&太「
!!?」シャ「…
主人という事を利用して、私が入浴している時に突然入ってきて
、押し倒し、挙句には胸まで揉みしだかれ
…」太「
待てぇぇぇ!! 俺はンな命知らずな事した覚えはねぇぞっ!!!!――って山野辺、
俺をそんな軽蔑の眼差しで見るなぁっ!!」
翔「最低だな…七梨」
太「うぁぁぁっ!! 俺はそんな事をした覚え
なんて!…いや、してない筈…」
2人の女性に“そういう眼差し”を向けられ、段々記憶が曖昧になって行く――
太「あぅぅ…俺は…俺は…やってないんだぁ
ぁぁぁっ!!」
…そう叫びながら、太助は夕日に向かって泣きながら走っていった。
ハルカの勝手コメント
ああ、遂に太助君まで壊れた(笑)
月天キャラがどんどん壊れていくこの作品、もう最高!!
さてさて、お次の生け贄(オイ)は出雲さん。 ………ん、陰陽神主?
はっはっは、陰陽術とはこれまた渋い(?) みなさん、続編に期待です♪