その夜、俺は愛原の言葉が頭から離れなかった。
…――シャオ先輩もキリュウ先輩も、うどん人じゃないですよね――
太助「……」
あー…忘れねーと。
………。
……。
…。
深夜の廊下を、キリュウは歩いていた。
何故彼女が起きているのか――それは、原作のように目覚ましを仕掛けていたわけじゃない。単に寝相が悪くてベッドから落っこちただけの事だ。
キリュウ(……結構痛いものだな)
顔面でべちっ、と落ちた時は、自分で『これはオイシイ!』と感じたものだが…――とりあえずトイレにでも行っておこうと、部屋を出たまでだ。
『隠密同心心得の条! 一つ、我が命我がものと思わず、武門の義あくまで陰にて、己の器量伏し、ご下命いかにても果たすべし。なお、死んで屍拾う者無し、死んで屍拾う者無し、死んで屍拾う者無し!!』
キリュウ「ひぃっ!?(びっくし)」
――ルーアン姉の部屋からだ。…感じからすると寝言か――と自分で納得付けて、キリュウは呼吸を整え、ウエストが細い性で下がっていた自身のフォトプリパジャマ(←龍騎)のズボンを上げた。
(注意:基本的に部屋の配置は原作『月天』と同じなのよ。『月天ファンブック』がある人は、P24、25を参照するよろしアル)
直後、再び音が聞こえた。
キリュウ「……?」
そう、例えて言うなら紙を捲るような音。微かにごとごとと音が聞こえ、それらは全て、太助の部屋から洩れていた。ドアの下の隙間からは、スタンドライト程度の明かりが点いている事が伺える。
キリュウ「…主…殿?」
興味本位でこっそりドアを開ける――廊下と同じく薄暗い太助の部屋の一角、そこには、マ○キヨとかで売ってそうな読書灯の下で大量に詰まれた本を片っ端から読んでいる、太助だった。――…いや?
キリュウ「主殿……なのか?」
こちらを振り返る太助の表情は、どことなく違っていた。そこにはいつもの3枚目な雰囲気は全く無く、代わりにあるのは凛とした清楚な空気。
太助?「……そうか、そなたと逢うのは初めてだったな、万難地天キリュウ殿」
キリュウ「!?」
神奈「…お初にお目にかかる。私は、神奈備命。今は太助の魂の中に住まわせて貰っている、翼人だ」
キリュウ「…あー、えっと、話が見えないのですが」
実年齢的にキリュウの方が年上なのだが、どうしてもその雰囲気から敬語になってしまうヘナチョコ精霊キリュウ。
神奈「以前、太助が異世界にへ渡ったのであろう」
キリュウ「あ――ああ、支天輪と短天扇の紛失事件の時か…」
神奈「恐らくそうだろうな。その時に、儂はこやつに乗り移ったのじゃ」
キリュウ「ほぅ…そうだったのか」
――…とりあえず、部屋で話すのもなんなので、精霊と翼人らしく(謎)屋根の上に上がって話すことにする。
キリュウ(…しかし、この展開ふぉうりん殿のヤミノSSと同じ展開のような…許可は良いのか?)
神奈「ふぅ…やはり、幾年月経とうとも、世界が違おうとも、風は心地良い…」
キリュウ「……あっ…ああ、私もそう思う」
今日は晴れてて良かった良かった。まぁ曇空で月は見えないけど、それでも肌を撫でる夜風は気持ちがいい。
神奈「元来、儂は孤独だった…それはこの間まで神尾観鈴という娘と一緒だったのだが――その娘も、私の呪いのせいで孤独という運命を背負っていたのだ…」
キリュウ「…呪い、か」
神奈「うむ。――しかし、この運命の鎖を、あやつ…七梨太助は無理矢理断ち切ったのじゃ。儂を足蹴にしてまでな」
ああ、やはり根に持っていたか。
キリュウ「ふふっ…主殿らしいな」
神奈「…そして、不死身であるこやつの魂に住む事によって、私の呪いは徐々に浄化しつつあるようだ…――そこで、儂にも、その、心の余裕が出てきてな。現代の事をもっとよく知りたいと思うたのだ」
キリュウ「そこで、主殿の寝ている夜中に身体を支配して勉学に勤しんでいた、というわけか…」
神奈「うむ、そのお陰で現代の恋愛についてもいろいろ学んだぞ」
キリュウ「っ…そ、そうか…」
神奈「うむ。例えば、今日学んだ物語は、幼少の頃に異性と少女と契りを交わした男が、『東大』と呼ばれる場所に入る為に、必死に努力する話とかな」
キリュウ「…何か随分偏ってる気が…しかもその説明だと凄い正統派恋愛作品っぽく聞こえるし」
神奈「まだあったぞ。――恋愛とは違うが、西暦2015年という未来を舞台とした、『巨大人型カラクリ人形』に14歳の少年少女が乗り込んで、怪しげな妖怪共と戦う物語とか」
キリュウ「…もはや完璧に投稿先への狙ったネタのような…」
しかも漫画ばっかだし。
神奈「――…しかし、世の中は広いな…不死身の男がいたと思えば、世界を一瞬で焦土と化しかねない精霊がいて…」
キリュウ「あー…いや、彼らはちょっと特殊だから…」
アレらが基準と思わないで欲しい、てか一緒にしないで欲しい。
神奈「何より、今の儂はすこぶる幸せなのじゃ」
キリュウ「――……。」
その神奈の笑みに、キリュウはとても嬉しく感じた。
んで、翌日。
今日の体育は、男女合同でバレーだ。
意気込んで頑張ってる生徒達をよそに、太助はぼーっとしていた。
太助(はー…だっるぅ…)
ふと別コートに目をやると、作品中底面側の脇役二人が話していた。
Takasi「つーかえれぇ久々の登場だよな、乎一郎」
乎一郎「うん…原作なら喋らなくても一応コマの隅にいたりしてるのに…――でも、大丈夫。もちょっと先になるけど27・28話は僕が主役だもんね!」
シャオリン「あ、そのネタは別の人に代わったので
乎一郎さんは無いです」(←ボール取りに来ただけの通りすがり)乎一郎「Σ(゚д゚;)――…ぼ、僕の出番って…まだある、よね?」
シャオリン「出番ですか? ――
自殺でもすれば一躍トップ記事ですけどね」(と言って去っていく)翔子「シャオ…
アンタ、鬼だよ」ああ、乎一郎。号泣でランナウェイだし。…直死の魔眼ネタも取られちゃったしなぁ…本当に優遇されてねーな、アイツ。
太助「…なんか最近、しっかり寝てた筈なのに、身体は寝てないような…」
キリュウ「……。」(←心当たりありあり)
昼間は太助が、そして夜は神奈が一つの身体を使っている。…精神はともかく、身体はずっと休む事が無いのだ。…いくら不死身と言っても、疲労というのは消せはしないのだろう。
と、その時。
愛原「七梨先輩!」
太助「――っ!? ああ、愛原か…」
愛原「元気ですかー!!」
太助「…のっけからどっかの暴走女子高生(自称)並のテンションだな、愛原よ――俺はテンション激低だって…の…」
あかん、言ってる傍からGストーンのエネルギーが(謎)
ばたり。
………。
……。
…。
んで、原作に倣って保健室。
シャオ「太且力様!」
翔子「…は?」
シャオ「『壊月天』って『Kanon』に対する
『Kanoso』みたいなもんでしょ? だから太助様も太且力様に改名しようかと。えへへ」翔子「えへへじゃねぇよ――だったら全員改名するのかよ…」
シャオ「そうですねー。私は既に
獅也於燐でOKですから、次に翔子さんは 羊羽子さんってのは」翔子「いやぁ〜っ!?何かカッコ悪ぅ!?」
ルーアン「
て言うか保健室は静かにしなさいそこの生徒二人」(←声は大きくないけど、その分を押し殺した迫力を文字サイズで表現)シャオ「あ、すみません
ノレーアン姉もといセンセ」ルーアン「
誰がノレーアンじゃっ!誰がぁっ!!」(←今度は本当に大声)太助「
寝てる病人に対しての配慮ってのは無いのか手前ぇら」シャオ「あー太且力様」
翔子「だからもうそのネタ引っ張るなって…――つか、七梨、起きたのか」
太助「ああ…あれだけ大声上げられてたらな…そら起きるわ」
いるよね、熟睡してたのに、ほんの小さな物音でも目が覚める人――もっとも太助はそこまで敏感じゃ無いが、だからといって、自分のすぐ傍であんな大声を張り上げられたら大抵目が覚めるだろう(覚めない奴もまれにいるが(作者もその一人))。
シャオ「ですが、話の都合上目が覚めるの早過ぎです」
その原因の人が何言うかな。
シャオ「つーワケで、もう少し寝ててもらいます」
言うと、シャオは妙な構えを取って両腕を8の字を描くように(スミマセン良い描写が出来無いです。アレ)動かす。
太助「なっなんだその動きっ!?」
ルーアン「まさか…その構えは――その技を使うの!?シャオリン!」
太助「!?ちょっと待った気絶させるだけでそんな何か意味深に怪しげな必殺技を」
ルーアン「いや、別に物質的な破壊力は無いからいいんだけどね」
太助「は?」
シャオ「行きます…――
暗黒翡翠拳!」
太助「ぶはははHAHAはぁーっ!!? のっ脳がよじれるっ!!?」
――何か、身体的っつーか精神的に“殺られ”てしまって――
昏倒。
太助「…よりによって今回これ食らうとは思ってもみなかった……(がくっ)」
ルーアン&翔子((…気の毒…))
………。
……。
…夢を、見ていた。
ぢゃーんぢゃーんぢゃーんぢゃーん
太助『ってちょっと待て!? 何だこのイントロはっ!?』
神奈『それは儂が聞きたいわっ!』
太助『うぉっ!?神奈――これは一体…』
神奈『夢の中だからな――おぬしの見る夢は嫌がおうにも儂も見るハメになっておるのだ。ついでに精神の中なので、儂もしっかり具現化されとる』
太助『ああ、そうか…こんなマイナーな歌聞きたくねー…』
♪ピカピカピカピカ スタースター
ピカピカピカピカ スタースター
太助『ってまだ流れてるし!』
神奈『こんな曲のネタ誰も知らんだろうに…』
アイツの愛機がストロボたいた
見たぞ撮ったぞこの瞬間
YAH!YAH! 普通の高校生でも
YAH!YAH! カメラを抱きしめりゃ
それ!エクセレントチェンジ!!
………。
……。
…。
太助「結局聞いちまったぁぁーっ!」(がばっ)
キリュウ「はぐぅ!?」
ごすっ
………。
〜〜〜〜〜〜〜!!!(←両者無言の悲鳴)
太助「…何で…そんな顔近付けてたんだっ!キリュウ!!」
キリュウ「あ、いや……昨日の事がちょっと気になって、な」
太助「きのう?」
キリュウ「っ! いや、何でも無い」
そうだった――昨晩、神奈に『この事がバレるといろいろとマズいので太助には内緒だぞ』と言われていたのだ。
太助「うー…確か、身体がめっちゃ疲れて倒れて…その後、もっかい目ぇ覚めたような気がするんだけど――その辺り、よく覚えて無いんだよな…」
キリュウ「…?」(←その場に立ち会ってない)
――しかし。
太助「…この展開だと、シャオ役がキリュウになるワケか…!?」
それは、それで、良いんじゃ、ないデスカー!?皆さん!!(誰)
キリュウ「ああ、何故かは知らんが弁当も持ってるぞ」
太助「おっしゃあ!(親指立て) 久々に俺的ハッピーラストだぜっ!!」
てか初かもしんない。
太助「これで4巻も終わりだからなー、たまには主人公に休暇を与えてもいいかもって配慮かしらん」
出雲「いえ、キリュウさんがルーアンさん役って可能性もありますよ」
太助「
帰れ森川智之」出雲「
酷いですね坂口大助」キリュウ「ふ、二人ともっ、せめて『さん』くらい付けては…」
気のせいか、大助と太助は似てる気がする。
太助「ボンクラーズの2号が入ってくんじゃねって!! てかルーアンは入り口で番してんじゃ無いのかYO!」
出雲「ああ、彼女でしたら
おいしい水を渡したら快く通してくれましたよ」太助「どっかの警備員かアイツは!?」
しかもいっちゃん安い奴でか。
と、その時。
ルーアン「折角恋愛ポイントがいっちゃん高いペアでツーショットにしてあげたってのに――
保健室では静かにってさっき言ったでしょうが!」太助「
うっせぇボンクラーズ1号!!」花織「
どうしたんですか!?七梨先輩!!」太助「
ドサクサ紛れに来んなっ3号!!」花織「3号!?というと
赤い赤い赤い仮面の!」太助「だから
もういいからみんな吹っ飛べぇ〜っ!!!」(←怒りの3段フォント活用)
………。
……。
…。
吹っ飛ぶ1階フロア。
瓦礫に埋もれつつも、手とか足とか、ギャグ漫画のお約束を周到して気絶するボンクラーズ1〜3号&キリュウ(巻き添え)。
シャオ「フフ…ハナシにケリつける為、無理矢理のナパームデス…ん〜
デストロイ! 段々太助様もこっち側の人間になってきましたねぇ」(ポン、と太助の肩叩く)太助「う、嬉しくねぇ!(泣)」
シャオ「大丈夫。こうやってやって慣れていく内に次第に
快楽すら伴ってきますから…」太助「
嫌だぁぁぁっ!!!」
ハルカの勝手コメント
レイさん作「まもって守護月天〜22Century〜」の24話目をお届けしました♪
今回で原作4巻が終了した時点に相当するのですが、既に原作とは大きくかけ離れた展開に…
というより、それを言ったら一話目からそうなんですが(笑)
ところで今回、地味に乎一郎が可哀想でしたね…ハルカとしては彼に更なる活躍を望みたいところですが…無理でしょうね(オイ)
レイさん、どうもありがとうございましたm(_ _)m
徐々に紀柳>シャオリン図式が進んでいることに心中ほくそ笑みながら…それでは。